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猫パロシリーズの連載です。
「としぞー拾いました。」 と 「ちづ拾いました。」 の続き。
完結しました。
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
2人と2匹になるまで (1)
早朝、しつこく鳴り続けるインターホンに渋々目を覚ました。
嫌な寝覚めだと体を起こそうとしたとき、胸の上に何か暖かいものが乗っている事に気付く。
まさかと思い毛布をめくると、毛玉のように丸くなって眠るちづがいた。
昨夜、斎藤が勝手に持ってきた猫用のベッドで寝ていたはずが、どうやってベッドまで登ってきたのか。
「……つぶしちまったらどうすんだよ」
「んにゃ……」
首根っこをつまんで持ち上げれば、眠たそうに手足を緩くじたばたさせる。
寝癖のついた柔らかい毛と、開ききらない瞼に思わずくすりとした。
そのまま床のラグに置いていた猫用ベッドに下ろせば、またすやすやと眠り始める。
「……少しは緊張感を持てねえのか?」
仮にも、昨夜うちに来たばかりには見えない。
その間も鳴り続けるインターホンに嫌な予感を感じつつ扉を開ければ、立っていたのは想像通りの嫌な笑顔を作った人物だった。
「……お前のとこは今日休診日じゃねえだろ」
「自分では一度も動物を飼わなかった土方さんが、可愛い子猫を拾ったって聞いて来ちゃいました~」
総司の科白に、思わず頭を抱えたくなった。
斎藤には信用を置いているが、あいつが特に猫に目がないのを忘れていた。
きっと総司に上手く乗せられて話したのか。
「じゃあ、お目当ての子もお出迎えしてくれた事だし、お邪魔しますね」
「なっ……?」
「みーっ!」
振り向くと、総司を興味津々に見上げるちづがちょこんと座っていた。
――……やはり、こいつは危機管理に疎い性格らしい。
「……おい、かまいすぎなんじゃねえか」
「何ですか土方さん、ヤキモチですか?この子こんなに喜んでるのに」
総司が撫でまわしたり抱き上げたりしても、ちづは嫌がるどころか嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「可愛いなあ、あの一君が珍しく顔を緩めてたのも分かるや」
総司はちづをいたく気に入った様で、飽きもせずカーペットに寝転がり、ちづと遊び続けている。
「見た感じ生後一ヶ月過ぎた位かな…君、こんな人に拾われちゃってツイてないよね……僕のとこ来る?」
「にゃ?」
「……ちづ、こっち来い」
「 ! みゃっ!」
かがんで手を差し出せば、ちづが小さい体で必死に腕に飛び乗る。
置き去りにされた総司は「土方さんのくせに…気に入らないなあ……」とか不満げにぶつぶつと呟いていた。
「そういえばこの子、『ちづ』って言うんですね」
名前をつい口走っていたことに気付く。
「土方さんにしては、可愛らしい名前付けましたね」
「……悪いかよ」
「いいえー。この子に合ってるし、良い名前なんじゃないですか?」
珍しく俺を評価するような言葉を口にしているが、顔は悪い事を考えている様な笑顔だ。
どうせ仲間内で、俺が子猫にらしくない名前を付けたとか言ってからかう魂胆だろう。
その後も、俺の腕から奪い返したちづを散々かまい倒してから、やっと仕事に戻って行った。
遊び疲れてすやすやと眠るちづを眺めながら、妙な疲れを感じてつい溜息をはく。
「昨日から……何か落ち着かねえ」
そういえば、あの少女と黒猫の方はどうなっているのか。
「お前と違って、あれは愛想悪かったからなあ……」
「にゃ……」
千鶴という少女が言うには、俺限定らしいが。
頭を軽く撫でれば、眠たげに少しだけ鳴いたちづに邪魔して悪いと呟いて、もう一眠りすることにした。
「としぞー拾いました。」 と 「ちづ拾いました。」 の続き。
完結しました。
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
2人と2匹になるまで (1)
早朝、しつこく鳴り続けるインターホンに渋々目を覚ました。
嫌な寝覚めだと体を起こそうとしたとき、胸の上に何か暖かいものが乗っている事に気付く。
まさかと思い毛布をめくると、毛玉のように丸くなって眠るちづがいた。
昨夜、斎藤が勝手に持ってきた猫用のベッドで寝ていたはずが、どうやってベッドまで登ってきたのか。
「……つぶしちまったらどうすんだよ」
「んにゃ……」
首根っこをつまんで持ち上げれば、眠たそうに手足を緩くじたばたさせる。
寝癖のついた柔らかい毛と、開ききらない瞼に思わずくすりとした。
そのまま床のラグに置いていた猫用ベッドに下ろせば、またすやすやと眠り始める。
「……少しは緊張感を持てねえのか?」
仮にも、昨夜うちに来たばかりには見えない。
その間も鳴り続けるインターホンに嫌な予感を感じつつ扉を開ければ、立っていたのは想像通りの嫌な笑顔を作った人物だった。
「……お前のとこは今日休診日じゃねえだろ」
「自分では一度も動物を飼わなかった土方さんが、可愛い子猫を拾ったって聞いて来ちゃいました~」
総司の科白に、思わず頭を抱えたくなった。
斎藤には信用を置いているが、あいつが特に猫に目がないのを忘れていた。
きっと総司に上手く乗せられて話したのか。
「じゃあ、お目当ての子もお出迎えしてくれた事だし、お邪魔しますね」
「なっ……?」
「みーっ!」
振り向くと、総司を興味津々に見上げるちづがちょこんと座っていた。
――……やはり、こいつは危機管理に疎い性格らしい。
「……おい、かまいすぎなんじゃねえか」
「何ですか土方さん、ヤキモチですか?この子こんなに喜んでるのに」
総司が撫でまわしたり抱き上げたりしても、ちづは嫌がるどころか嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「可愛いなあ、あの一君が珍しく顔を緩めてたのも分かるや」
総司はちづをいたく気に入った様で、飽きもせずカーペットに寝転がり、ちづと遊び続けている。
「見た感じ生後一ヶ月過ぎた位かな…君、こんな人に拾われちゃってツイてないよね……僕のとこ来る?」
「にゃ?」
「……ちづ、こっち来い」
「 ! みゃっ!」
かがんで手を差し出せば、ちづが小さい体で必死に腕に飛び乗る。
置き去りにされた総司は「土方さんのくせに…気に入らないなあ……」とか不満げにぶつぶつと呟いていた。
「そういえばこの子、『ちづ』って言うんですね」
名前をつい口走っていたことに気付く。
「土方さんにしては、可愛らしい名前付けましたね」
「……悪いかよ」
「いいえー。この子に合ってるし、良い名前なんじゃないですか?」
珍しく俺を評価するような言葉を口にしているが、顔は悪い事を考えている様な笑顔だ。
どうせ仲間内で、俺が子猫にらしくない名前を付けたとか言ってからかう魂胆だろう。
その後も、俺の腕から奪い返したちづを散々かまい倒してから、やっと仕事に戻って行った。
遊び疲れてすやすやと眠るちづを眺めながら、妙な疲れを感じてつい溜息をはく。
「昨日から……何か落ち着かねえ」
そういえば、あの少女と黒猫の方はどうなっているのか。
「お前と違って、あれは愛想悪かったからなあ……」
「にゃ……」
千鶴という少女が言うには、俺限定らしいが。
頭を軽く撫でれば、眠たげに少しだけ鳴いたちづに邪魔して悪いと呟いて、もう一眠りすることにした。
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