乙女ゲーム中心の二次創作サイト/小説ONLY
ようこそ♪
最新記事
作品リスト
カテゴリー
メールフォーム
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
としぞーと沖田さんご対面♪
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
2人と2匹になるまで (3)
「……もうっ!としぞー、病院行くよ?」
「……にゃ」
子猫を育てるのは大変なんて事、動物を飼った経験がない私でも当然知っていた。
でも、不安になる位としぞーは手がかからない……はずなのに。病院に行く時だけ、駄々をこねるのは何故だろうか。今回もベッドの下に篭城して抵抗を続けている。
こうなると捕まえることもできず、ベッドの前で待ちぼうけだ。
――しかし最近、としぞーをおびき出す方法があることを発見した。
「……じゃあ、私一人で先生のところに行ってくるね?」
「 !? 」
たちまちベッドの下から転がる様に出てきて、すぐさまキャリーに入る。
つい先日、分からない事を聞きたくて、自分だけでも病院へ行こうとした事がきっかけだったのだが……理由は未だによく分からない。
キャリーを覗けば、不機嫌そうにお尻を向けて不貞寝している。
「……にゃあ」
もうどうにでもしろと言いたげな、不満感たっぷりの鳴き声。
「……眉間にシワ寄ってるよ?」
「……にゃ」
更には、今はかまうなとでも言う様に返されてしまった。
ちょんと眉間をつつくと、顔を隠して丸くなる。
――今日も、ご機嫌斜めだなあ……
この様子では、今日も大人しく診察させてくれそうにない。
また土方先生を威嚇するのだろうかと頭を悩ませながら、不貞寝するとしぞーが入ったキャリーを持って家を出た。
◇ ◇ ◇
今日も、動物と飼い主たちでいっぱいの動物病院。待合室で大人しく順番を待つ。
いつも通り粛々と受付の仕事をする斎藤さんを横目に、少しずつ高鳴りはじめた胸の鼓動がうるさい。先生と会える貴重な時間が近づいてくると思うと、知らずに浮足立ってしまう。
「としぞー……今日はいい子にしててね?」
診察が心待ちのひとときである一方、機嫌の悪いとしぞーが気がかりで、先生とちゃんとお話ができた試しはない。
私が勝手に楽しみにしているだけで、としぞーにとっては余計な事に違いないのだけれど。
「……としぞー?」
「え?」
突然、としぞーを呼ぶ声がをした方に視線を向ければ、そこには長身の男性が立っていた。
白衣を着ているところを見ると、この病院の職員だろうか。
私の思考が収拾しない間に、目の前にしゃがみ込み、膝上のキャリーに入ったとしぞーを観察している。
「それって、この子猫の名前?」
「は、はい」
「ふうん、ずいぶん綺麗な子だね……まあ、眉間にシワは寄ってるけど」
「み゛っ!」
突然、見知らぬ人物に至近距離で観察されたとしぞーは、背中と尻尾の毛を逆立てて威嚇しようとする。
「としぞー、だめだよ」
しかし、目前の男性を落ち着いて見てみれば、土方先生や斎藤さんに負けず劣らずの綺麗な顔立ちをしている。
2人と違って自由奔放な雰囲気を感じるのは、前が全て開いた白衣や、ポケットに突っ込まれた両手のせいだろうか。
「……えっと」
私がどなた様でしょうと問う暇もなく、その男性は言葉を続ける。
「ねえ、一君、彼女いつからここに通ってるの?」
受付の斎藤さんが、ゆっくりと視線をこちらに向けた。
斎藤さんと面識があるという事は、やはりこの病院の関係者のようだ。
「……勝手に患者の事を探るのは感心しない」
「だってさ」
「……一月ほど前からです」
視線を受けてそう答えれば、「ふぅん…一月前か」と何か考え込んでいる様子だ。
「総司、もういいだろう?雪村は診察室に入れ」
「あ、はいっ!」
斎藤さんの言葉に慌てて椅子から立ち上がると、としぞーが驚いた様子で目を丸くしていた。
「ご、ごめんね?」
「みっ」
「へえ、君にはちゃんと懐いてるんだね」
「えっと、この子が威嚇してしまって、すいません」
「ううん?その猫の名前といい 眉間の皺といい、誰かさんにそっくりだと思っただけだから」
「え?」
「……君も、あの子にそっくりだね」
……『あの子』とは、誰の事を指しているのだろうか。
にこにこと楽しそうに発せられる言葉の意図が分からなくて困惑してしまう。
「ちなみに、僕は沖田っていうから…じゃ、いってらっしゃい。『千鶴』ちゃん」
「総司!お前カルテを勝手に見たな?」
「いいじゃない。僕も一応関係者みたいなものだし?」
そう言いながら、沖田と名乗ったその人がひらひらと手を振る。
斎藤さんはあきれた様に溜息を吐きながら、また視線を書類に戻してしまった。
「ああ、君にいいこと教えてあげるよ。土方さんの飼い猫、君と同じ名前みたいだよ?」
「……えっ?」
「ほら、早く行かないと。あの人短気だから機嫌損ねるんじゃない?」
はやくはやくと沖田さんに背を押されて、告げられた言葉を理解する間もなく診察室に押し込められた。
「はじめ君、あの黒猫の名前ってさ」
「……最初に来た時からあの名前だった…それ故、お前が思っている様な事は何もない」
「……ふぅん?」
「総司、新しいおもちゃを見つけた様な顔をするな」
「はじめ君こそ、そんな怖い顔しないでよ」
「土方先生の仕事を、邪魔する事は許さん」
「はいはーい」
「……はあ」
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
2人と2匹になるまで (3)
「……もうっ!としぞー、病院行くよ?」
「……にゃ」
子猫を育てるのは大変なんて事、動物を飼った経験がない私でも当然知っていた。
でも、不安になる位としぞーは手がかからない……はずなのに。病院に行く時だけ、駄々をこねるのは何故だろうか。今回もベッドの下に篭城して抵抗を続けている。
こうなると捕まえることもできず、ベッドの前で待ちぼうけだ。
――しかし最近、としぞーをおびき出す方法があることを発見した。
「……じゃあ、私一人で先生のところに行ってくるね?」
「 !? 」
たちまちベッドの下から転がる様に出てきて、すぐさまキャリーに入る。
つい先日、分からない事を聞きたくて、自分だけでも病院へ行こうとした事がきっかけだったのだが……理由は未だによく分からない。
キャリーを覗けば、不機嫌そうにお尻を向けて不貞寝している。
「……にゃあ」
もうどうにでもしろと言いたげな、不満感たっぷりの鳴き声。
「……眉間にシワ寄ってるよ?」
「……にゃ」
更には、今はかまうなとでも言う様に返されてしまった。
ちょんと眉間をつつくと、顔を隠して丸くなる。
――今日も、ご機嫌斜めだなあ……
この様子では、今日も大人しく診察させてくれそうにない。
また土方先生を威嚇するのだろうかと頭を悩ませながら、不貞寝するとしぞーが入ったキャリーを持って家を出た。
◇ ◇ ◇
今日も、動物と飼い主たちでいっぱいの動物病院。待合室で大人しく順番を待つ。
いつも通り粛々と受付の仕事をする斎藤さんを横目に、少しずつ高鳴りはじめた胸の鼓動がうるさい。先生と会える貴重な時間が近づいてくると思うと、知らずに浮足立ってしまう。
「としぞー……今日はいい子にしててね?」
診察が心待ちのひとときである一方、機嫌の悪いとしぞーが気がかりで、先生とちゃんとお話ができた試しはない。
私が勝手に楽しみにしているだけで、としぞーにとっては余計な事に違いないのだけれど。
「……としぞー?」
「え?」
突然、としぞーを呼ぶ声がをした方に視線を向ければ、そこには長身の男性が立っていた。
白衣を着ているところを見ると、この病院の職員だろうか。
私の思考が収拾しない間に、目の前にしゃがみ込み、膝上のキャリーに入ったとしぞーを観察している。
「それって、この子猫の名前?」
「は、はい」
「ふうん、ずいぶん綺麗な子だね……まあ、眉間にシワは寄ってるけど」
「み゛っ!」
突然、見知らぬ人物に至近距離で観察されたとしぞーは、背中と尻尾の毛を逆立てて威嚇しようとする。
「としぞー、だめだよ」
しかし、目前の男性を落ち着いて見てみれば、土方先生や斎藤さんに負けず劣らずの綺麗な顔立ちをしている。
2人と違って自由奔放な雰囲気を感じるのは、前が全て開いた白衣や、ポケットに突っ込まれた両手のせいだろうか。
「……えっと」
私がどなた様でしょうと問う暇もなく、その男性は言葉を続ける。
「ねえ、一君、彼女いつからここに通ってるの?」
受付の斎藤さんが、ゆっくりと視線をこちらに向けた。
斎藤さんと面識があるという事は、やはりこの病院の関係者のようだ。
「……勝手に患者の事を探るのは感心しない」
「だってさ」
「……一月ほど前からです」
視線を受けてそう答えれば、「ふぅん…一月前か」と何か考え込んでいる様子だ。
「総司、もういいだろう?雪村は診察室に入れ」
「あ、はいっ!」
斎藤さんの言葉に慌てて椅子から立ち上がると、としぞーが驚いた様子で目を丸くしていた。
「ご、ごめんね?」
「みっ」
「へえ、君にはちゃんと懐いてるんだね」
「えっと、この子が威嚇してしまって、すいません」
「ううん?その猫の名前といい 眉間の皺といい、誰かさんにそっくりだと思っただけだから」
「え?」
「……君も、あの子にそっくりだね」
……『あの子』とは、誰の事を指しているのだろうか。
にこにこと楽しそうに発せられる言葉の意図が分からなくて困惑してしまう。
「ちなみに、僕は沖田っていうから…じゃ、いってらっしゃい。『千鶴』ちゃん」
「総司!お前カルテを勝手に見たな?」
「いいじゃない。僕も一応関係者みたいなものだし?」
そう言いながら、沖田と名乗ったその人がひらひらと手を振る。
斎藤さんはあきれた様に溜息を吐きながら、また視線を書類に戻してしまった。
「ああ、君にいいこと教えてあげるよ。土方さんの飼い猫、君と同じ名前みたいだよ?」
「……えっ?」
「ほら、早く行かないと。あの人短気だから機嫌損ねるんじゃない?」
はやくはやくと沖田さんに背を押されて、告げられた言葉を理解する間もなく診察室に押し込められた。
「はじめ君、あの黒猫の名前ってさ」
「……最初に来た時からあの名前だった…それ故、お前が思っている様な事は何もない」
「……ふぅん?」
「総司、新しいおもちゃを見つけた様な顔をするな」
「はじめ君こそ、そんな怖い顔しないでよ」
「土方先生の仕事を、邪魔する事は許さん」
「はいはーい」
「……はあ」
PR
この記事にコメントする