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猫パロ自宅訪問編の2話目です。
1話はこちら→ お邪魔してきました(1)
土方さん獣医設定ですが、作者が動物を飼ったことがないので、いろいろとご容赦ください。
お邪魔してきました (2)
「何でちづが居ないんですか? その水筒のお茶は誰が用意したんですか? 千鶴ちゃんは最近来てなんですか?」
「……聞きたいことはそれで全部か」
今日の診察もそろそろ終わりという頃。
声もかけず裏口から入ってきた総司が、ひと通り診察室を観察したのち、つらつらと質問を挙げる。
総司が勤める近藤さんの動物病院が忙しいと聞いていたので、しばらく来ないだろうと踏んでいたのに。
休憩室の椅子を勝手に診察室に持ち込み、これまた勝手に淹れたコーヒーを片手にくつろいでいる。
「診察室でだらけるんじゃねえ」
「いいじゃないですか、今ちょうど待ち数ゼロみたいだし。それより質問に答えて下さい」
室内に響くのは、受付に座る斎藤が静かに打つパソコンのキーボード音だけ。
山崎は、総司の気配を敏感に察知したのか見当たらない。
今日は久しぶりに家で千鶴と食事ができると思っていたのに、最後の最後にこの疲れる状況に陥るとは。
「ちづは家にいる」
「仕事のときはここに連れてくるか、非番の一君や山崎君に預けてたのに?」
「水筒は家から持ってきた」
「誰が淹れたんですか。まさか自分でなんて言わないでくださいよ?」
「黒猫が成長したから、千鶴は最近病院に来てない」
「拾った子猫に同じ名前つけるくらいデレデレしてたのに、そのまま手放しちゃったなんて言いませんよね?」
こちらの言葉が途中だというのに、黙って聞くということができないのだろうか。
「質問は、最初聞かれたことしか答えねえ」
それで全部かって聞いただろうと一蹴すれば、総司が目を細める。
どうせ大体の見当はついていて、からかうためにわざと聞いているのだろう。答えてやる義理などこれっぽちも感じない。
「じゃあ、僕これから土方さんの家行ってきますね」
「……は?」
じゃあって何だ。どこから出てきた。
「良い訳ねえだろうが」
「だって、聞いても答えてくれないんでしょう? だから見てきます。ついでに聞いてきます」
「おい!」
その言葉は、既に同棲していることは察しているといった意味だったが、今はそれどころではなくて。
さっさと立ち上がる総司に冷や汗が出る。
恋人同士の同棲といっても、男女交際に慣れない千鶴にキス以上のことはしていない。
もっとも、それは土方が教えれば良い話なのだが、千鶴は今の状況を同棲だと思っていない節がある。
最初に「ただの同居」と土方が言いくるめて始まったが悪いのだが、初心な千鶴が突然「同棲」という事実を突きつけられたら、混乱してしまうだろう。
たとえ、毎日お弁当を作って送り出し、あたたかい夕食を作って帰宅を待つといった、他人が見たら新妻のような状態であっても、である。
同棲に入る順番が逆だったせいで、どう切り出すか悶々としていた。
「では僕はこれで。家で待ってますから」
いつになく笑顔の総司。止めて止まる奴じゃないのは、とっくの昔から知っている。
時計を見ると、診療時間は残り三十分。
「……くそ」
うきうきと裏口から出て行く総司の足音が憎らしい。
三十分も総司と二人にさせたら、何を吹き込まれるか分かったものではない。
「土方さん、今日は俺も山崎もいますので」
「そういう訳にもいかねえだろ」
同情の目を向けてくる斎藤。提案は有難いが、それこそ仕事に私情を持ち込んでいるようなものだ。
それを言ったら、おそらく仕事中に抜け出して来たのだろう総司はどうなんだと言いたいところだが、それを責めても仕方ない。
千鶴に総司を家に入れるなと言ったところで、強行される可能性は高い。なんといっても相手が手強い。
とりあえず千鶴に連絡をと携帯に手を伸ばしたとき、正面の自動ドアから入ってきた赤髪長身の男。
「おお、ちょうどお客は居ないみたいだな。久しぶり……って、二人ともどうした?」
原田だった。
1話はこちら→ お邪魔してきました(1)
土方さん獣医設定ですが、作者が動物を飼ったことがないので、いろいろとご容赦ください。
お邪魔してきました (2)
「何でちづが居ないんですか? その水筒のお茶は誰が用意したんですか? 千鶴ちゃんは最近来てなんですか?」
「……聞きたいことはそれで全部か」
今日の診察もそろそろ終わりという頃。
声もかけず裏口から入ってきた総司が、ひと通り診察室を観察したのち、つらつらと質問を挙げる。
総司が勤める近藤さんの動物病院が忙しいと聞いていたので、しばらく来ないだろうと踏んでいたのに。
休憩室の椅子を勝手に診察室に持ち込み、これまた勝手に淹れたコーヒーを片手にくつろいでいる。
「診察室でだらけるんじゃねえ」
「いいじゃないですか、今ちょうど待ち数ゼロみたいだし。それより質問に答えて下さい」
室内に響くのは、受付に座る斎藤が静かに打つパソコンのキーボード音だけ。
山崎は、総司の気配を敏感に察知したのか見当たらない。
今日は久しぶりに家で千鶴と食事ができると思っていたのに、最後の最後にこの疲れる状況に陥るとは。
「ちづは家にいる」
「仕事のときはここに連れてくるか、非番の一君や山崎君に預けてたのに?」
「水筒は家から持ってきた」
「誰が淹れたんですか。まさか自分でなんて言わないでくださいよ?」
「黒猫が成長したから、千鶴は最近病院に来てない」
「拾った子猫に同じ名前つけるくらいデレデレしてたのに、そのまま手放しちゃったなんて言いませんよね?」
こちらの言葉が途中だというのに、黙って聞くということができないのだろうか。
「質問は、最初聞かれたことしか答えねえ」
それで全部かって聞いただろうと一蹴すれば、総司が目を細める。
どうせ大体の見当はついていて、からかうためにわざと聞いているのだろう。答えてやる義理などこれっぽちも感じない。
「じゃあ、僕これから土方さんの家行ってきますね」
「……は?」
じゃあって何だ。どこから出てきた。
「良い訳ねえだろうが」
「だって、聞いても答えてくれないんでしょう? だから見てきます。ついでに聞いてきます」
「おい!」
その言葉は、既に同棲していることは察しているといった意味だったが、今はそれどころではなくて。
さっさと立ち上がる総司に冷や汗が出る。
恋人同士の同棲といっても、男女交際に慣れない千鶴にキス以上のことはしていない。
もっとも、それは土方が教えれば良い話なのだが、千鶴は今の状況を同棲だと思っていない節がある。
最初に「ただの同居」と土方が言いくるめて始まったが悪いのだが、初心な千鶴が突然「同棲」という事実を突きつけられたら、混乱してしまうだろう。
たとえ、毎日お弁当を作って送り出し、あたたかい夕食を作って帰宅を待つといった、他人が見たら新妻のような状態であっても、である。
同棲に入る順番が逆だったせいで、どう切り出すか悶々としていた。
「では僕はこれで。家で待ってますから」
いつになく笑顔の総司。止めて止まる奴じゃないのは、とっくの昔から知っている。
時計を見ると、診療時間は残り三十分。
「……くそ」
うきうきと裏口から出て行く総司の足音が憎らしい。
三十分も総司と二人にさせたら、何を吹き込まれるか分かったものではない。
「土方さん、今日は俺も山崎もいますので」
「そういう訳にもいかねえだろ」
同情の目を向けてくる斎藤。提案は有難いが、それこそ仕事に私情を持ち込んでいるようなものだ。
それを言ったら、おそらく仕事中に抜け出して来たのだろう総司はどうなんだと言いたいところだが、それを責めても仕方ない。
千鶴に総司を家に入れるなと言ったところで、強行される可能性は高い。なんといっても相手が手強い。
とりあえず千鶴に連絡をと携帯に手を伸ばしたとき、正面の自動ドアから入ってきた赤髪長身の男。
「おお、ちょうどお客は居ないみたいだな。久しぶり……って、二人ともどうした?」
原田だった。
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