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2月22日は鬼夫婦の日!
遅刻しました。
初の風千。設定はSSLの未来です。
新婚さん、千鶴ちゃんは薄桜学園の先生。
時間もなく、後半は少し強引に締めてしまった・・・
作品は以下からどうぞ♪
幸福メランコリー
「千景さん、わたし先に行ってきますね。」
「…おい、千鶴。夫を見送るのが妻の役目なのではないか。」
「千景さんが早く起きてくれないから、もう遅刻ギリギリなんです!」
そう言って玄関を出て行った妻に溜息を吐く。
やっと結婚したというのに、千鶴は勤めいてる学校を辞めようとしない。
結婚前と同じく、残業をすれば夜は遅くなる。
しかし、働き者の千鶴はもちろん、メイドにやらせれば良いという自分の勧めを断り、家事も完璧にこなしている。
おかげで、思い描いた甘い新婚生活とは縁遠い生活を送っていた。
千鶴が教師という職業を誇りにしていることは分かっているつもりだし、亭主関白を目指している訳でもない。
ただ、千鶴と過ごす時間については譲れないのだ。
しかも、学校ではあの連中と仲良くしているであろうと想像すると気分が悪い。
結婚式の時ですら、千鶴に気付かれない様にしながら、こちらに殺気を向けいてたことを思い出す。
おそらく、千鶴を諦める事なんて、奴らに限ってありえないだろう。
――もう限界だな。
一緒に暮らし始めて、既に2カ月。
共にいる時間がもっと欲しい。
◇◇◇
「千鶴、俺達が新婚らしい生活を送れていないのは、どうしてだと思う?」
「え、えっと…」
仕事が終わり、何回見ても立派過ぎると思う門を通って帰宅すると、何故か天霧さんが玄関でお待ちかねで、直ぐに千景さんの部屋に連れて行かれた。
部屋に入るなり、千景さんが早足で迫ってきて捕まえられてしまう。
何事かと思い、助けを求める様に天霧さんの方を振り返ったが、千景さんの優秀な秘書である彼は既に部屋を後にしていた。
それからというもの、部屋の大きな扉を背にして詰め寄られたまま、質問攻めである。
「で、ですから、私はまだ薄桜学園で教師をしたいんです!生徒達に教えたい事もまだまだあるし、職員の皆さんと一緒に仕事がしたいんです!」
「そんなことは分かっている。」
「…じゃあ、何が不満なんですか?」
「…残業なんてせずとも、家に持って帰ってくれば俺と共にいる時間が取れるというのに、何故わざわざ学校でする必要がある?」
そう言うと、千景さんは目を逸らしてしまった。
心なしか、顔も少し赤くなっている気がする。
「千景さん…私ともっと一緒にいたいんですか?」
「…皆まで言うな。」
今度こそ赤くなった顔で、少し睨まれた。
いつもは表情もあんまり変わらなくて、考えてることがうまく読み取れないのに、今日の千景さんはすごく可愛い。
腕を伸ばして、首にぎゅっと抱きついた。
「私、家に1人で千景さんを待っているのが寂しくて…それで、仕事辞めたくないんです。もちろんさっき言ったことも本当ですけど…」
「………」
「千景さんは忙しくて夜遅くなることが多いから、残業もわざと学校でやってました…ごめんなさい。」
抱き締めた腕に力を込める。
そういえば、彼とこんな風に本音で話し合ったのは久しぶりかもしれない。
一緒に暮らし始めてから2カ月、頑張って家事はしてきたつもりだったけど、千景さんの気持ちを考えていなかったと思うと、自分の未熟さに悲しくなる。
そんなことを悶々と考えていたら、不意に強く抱きしめられた。
「…分かった。」
「…え?」
「子供ができれば、何の問題もないではないか。」
突然目を見開いた千景さんは、私を突然横抱きにした。
「えっ…!?」
「子供ができれば、お前も必然的に仕事をしないし、家で待ってても寂しくない。」
足で乱暴に重い木製の扉を開け放つと、かつかつと寝室に足を進め始めた。
気が付くと、後ろに天霧さんがいる。
「天霧、今日はもう休む。」
「承知しました。」
「ちょっ…、天霧さんっ…!」
助けて…!
私の声が形になる前に、寝室の扉がばたんと閉まった。
直ぐに天蓋付きのベッドに下ろされて伸し掛かられる。
「2カ月分、受け取れ我が妻よ。」
今度は、先程とは全く違う、獲物を捕食する獣のような笑みだった。
そんな旦那の杞憂が晴れるのは、もう少し先のこと。
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