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SSL恋人設定。
SSLでも、千鶴ちゃんに土方さんの背中を追わせたい!
作品は以下からどうぞ♪
追いかける先に
千鶴には、最近ちょっとした楽しみがある。
4時間目も終わり、今日も風紀委員室でお弁当を食べさせてもうおうと、千鶴は風紀委員室へ向かっていた。
目的の場所にに辿り着き、ドアノブに手をかけようとした寸前、目の端に見慣れた後姿が映った。
――土方先生…!
土方を見つけると嬉しそうに微笑む千鶴であったが、彼を呼び止める事も無く、無言で後について行った。
そのまま一定の距離を保ちながら、トコトコとついて行く。
職員室まで辿り着くと、土方は千鶴に気付く様子もないまま、引き戸を開けて部屋に入っていった。
その様子を、千鶴は少し離れた場所で嬉しそうに見ていた。
◇◇
放課後、図書室で勉強をしていた千鶴は、夕焼けを背にしながら帰宅の準備をしていた。
準備を終えて図書室を出ると、着いたのは国語準備室がある階の廊下。
――確か、5時から職員会議って、昨日言ってたよね…
準備室が近づいて来たとき、扉がガラリと開く音がした。
千鶴は足音がしない様に、小走りで近づく。
――あれ?誰もいない?
確かに引き戸が開く音がしたはずだ。
首を傾げながら、千鶴は準備室の前で立ち止まった。
その瞬間、扉が勢い良く開き、何者かの手が千鶴の腕を掴んで部屋に引き込んだ。
突然の事に、千鶴は驚いて声も出なかった。
焦って振り向いた視線の先には、意地悪そうな笑みを浮かべる大好きなの人。
「土方先生…」
「よお、千鶴。」
土方が、直ぐに扉を閉めて鍵をかけた。
「あ、あの、これから職員会議じゃないんですか?」
「あれは嘘だ。」
「!?な、何でそんな嘘つくんですか!あと、何で私を抱きしめる必要があるんですか!?」
扉が閉まった途端に土方に抱きしめられた千鶴は、真っ赤な顔で抗議したが、腕が緩む様子はない。
「離したら逃げるだろ。それに、自分の女抱きしめて何が悪い。」
「せ、先生っ、ここ学校で…」
「ところで千鶴。」
土方に至近距離で見つめられて、不覚にもときめいてしまい言葉が出てこない。
「お前、最近俺に何か言いたい事があるんじゃねぇのか?」
「…え?」
千鶴はぽかんと口を開けて首を傾げた。
「先生に、言いたい事ですか?」
「ああ。何かあるだろ。」
「ぇと…特にないですよ?」
千鶴の返答が予想に反したのか、土方の眉間に皺が寄った。
「…本当か?じゃあ、最近学校で俺の後ろをぴょこぴょこ付いて回ってたのは何だ。」
「…っ!先生、気付いてたんですか…?」
「お前が話してくるのを待ってたんだが…もう止めだ。千鶴、理由を話せ。」
「ううっ…」
千鶴の顔があっという間に赤く染まった。
耳まで赤くして、あーとかうーと言って唸り始める。
「き、聞いて呆れませんか?」
「そんな事で呆れる訳ねぇよ。…早く話せ。」
まるで授業中の様な低い声で促され、千鶴は少し泣きそうになりながら口を開いた。
「せ、先生の背中を見てると、何だか安心するんです。」
「は?」
「自分でも良く分からないんですけど…でも、学校ではあまり先生と一緒にいれないですし…。あと、先生の背中、大きくて…格好、いいなあ…って…」
言いながら、千鶴はますます真っ赤になり、語尾がどんどんフェードアウトして行く。
ついには、目をぎゅっと瞑って土方の胸に顔を埋めた。
――先生、何も言ってくれない…やっぱり呆れられちゃったんじゃ…
ぐるぐると思考を巡らせていると、コツン、と土方の額が自分の額に合わせられた。
同時に、更に強く抱き締められる。
「はあ…何だよ、そんな事か。俺はてっきり別れ話でもされるんじゃないかと…」
「そ、それは絶対にないです!」
必死に否定する千鶴を見つめながら、土方は軽く溜息をついて優しく笑った。
「寂しくなったら、遠慮せずに準備室に来い。お前ばっか寂しいとでも思ってんのか?」
「…っ、いいんですか?」
「当たり前だろ。それに、お前は普段から遠慮しなすぎだ。」
「…はい、嬉しいです。」
嬉しそうに笑いながら、千鶴は土方の背中に手を回してぎゅっと力を込めた。
(でも…たまには、また後ろに付いて行っても良いですか?)
(まあ良いけどな…見つかったら、総司あたりからからかわれそうだぞ)
(うっ…見つからないように頑張ります!)
(…。ああ、頑張れよ。)
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