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1度ボツにしたものを大幅に書き直しました。
シリアスと思いきや最終的にギャグ。
R15程度の表現があります。苦手な方は注意してください。
おたがい様。
生徒たちが連れだって下校する姿を教科室の窓から見下ろす。若者らしく談笑する教え子たちを見るのは嫌いではない。
「――仕事すっか」
真っ赤に染まった空に、ゆっくりはいた煙草の煙が消えていった。強すぎる紅い光が眩しくて目を細める。
部活の下校時間も過ぎた。顧問をしている剣道部の部員たちもとっくに帰っただろう。
剣道場で指導していた身体の熱もようやく冷めた。
――さて、今日は何時に帰れるか。
そうぼんやりと椅子に腰掛けたところで、控えめなノック音が響く。
「……土方先生、いらっしゃいますか?」
小さい声だったが、それは間違いなく千鶴だった。
「――開いてるぞ」
「あ……! はい」
軽い音がして扉が開かれる。生徒が居るべきでない時間にどうしたのか。疑問を浮かべつつ千鶴へ目線を向ければ、土方の顔を見るなり赤くなって俯いた。
「どうした?」
扉から一歩踏み込んだきり動かない千鶴を引き入れて鍵をかける。
生徒がいない時間帯だが、用心にこしたことはない。
「えっと……何でもないわけじゃ……ないんですけど」
「珍しく歯切れが悪いな。言いたいことがあるなら遠慮しないで言え」
「うう……」
たいてい、千鶴が言葉につまるのは恋愛ごとについてだ。つまり土方に関することなので悪い気はしないが、聞き出すのに毎回一苦労である。
今回も、土方の顔を視界に入れるたび赤くなっては言葉につまる繰り返しだ。
「おい……千鶴」
ずるいとは思ったが少々威圧的に声をかける。
「……はい」
千鶴の細い指が土方のスーツの袖をちょんとつまんだ。
それが微かに震えているのに気付いたが、とりあえずそれは見なかったことにした。
「――あの、先生は、私でちゃんと満足してますか?」
「……は?」
「うう……えっと、付き合ってからずっと、えええっちは月に一回くらいだし、私はそういうことをよく知らないし、先生は満足できてないじゃないかと……思ってですね……」
言葉の最後は小さすぎてよく聞こえなかったが、言いたいことは大体分かった。
「……何でそう思ったんだよ」
「普通のお付き合いはそうじゃないって……聞いたんです」
「なるほどな。千鶴、ちょっとそこ座れ」
女ひとりの学校で過ごす千鶴に、そんな下衆な話を吹き込んだのはどこのどいつだと真っ先に問い詰めたいが、ひとまず落ち着かない千鶴をソファーに座らせる。
自分も横に座れば、だいぶ前に校長室から処分品として引き取ってきた古いソファーがぎしりと音をたてた。
暗い表情の千鶴がびくりと身体を揺らす。土方に怒られるとでも思っているのだろう。
「少し落ち着け。コーヒーでも飲むか?」
「やっぱり、先生は落ち着いてますね……」
太腿に置いた手がぎゅっと握りしめられている。
「私ばっかり必死で、すぐに頭がいっぱいになっちゃって、恥ずかしいです」
声は自分を嘲笑うようだったのに、大きな瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
「まったくお前は……」
「ごめんなさい……」
「違えよ。よく聞け」
「え?」
千鶴の頬を撫でれば、ぱちぱちと瞬かせた瞳から自然に涙が伝い落ちる。
それを拭いながら動揺に揺れる琥珀色の瞳を見つめた。
「お前だけが必死だなんて思うなよ」
「そ、そんなの……!」
「こっちはお前が男子生徒どもに囲まれてるのを毎日見て、耐えるのに必死だってのにそりゃひでえな」
「………」
今度は瞬きを忘れたかのように目が見開かれた。
そういえば、こんな子供のようなもの言いを千鶴に向かってするのは初めてかもしれない。
「お前は何の警戒心もなくいつもここに来てるけどな、学校じゃなかったら、何もせずに帰すなんてできねえよ」
ようやく言葉を飲み込んだのか、顔を真っ赤にした千鶴がじたばたと抵抗を始める。
しかし、既に片手は腰に回してある。振りほどくのは無理な話だ。
「わ、わかりました。わかりましたから……離して下さい……!」
「分かったなら離れなくて良いだろ。せっかくお前も乗り気なんだって分かったしな」
抱くのを控えていたというのは本当の話だが、それはいつも千鶴がいっぱいいっぱいに見えたからだ。
まだ若い彼女に無理をさせたくないというだけで、ゆっくり慣れてくれればと思っていたが……当の本人が不満だと言うなら仕方ない。
「――ひゃ!? 手を入れちゃだめです! リボンも外しちゃだめ!」
「んー?」
「こ、ここ学校……!」
「鍵は閉めた」
「誰かに気付かれたら」
「下校時間はとっくに過ぎてる――ああもう、少し黙れ」
止めて欲しいと訴え続ける千鶴の言葉を唇で奪った。
抵抗しながら、安心したように眉尻を下げた千鶴の表情を、俺は決して見逃していない。
シリアスと思いきや最終的にギャグ。
R15程度の表現があります。苦手な方は注意してください。
おたがい様。
生徒たちが連れだって下校する姿を教科室の窓から見下ろす。若者らしく談笑する教え子たちを見るのは嫌いではない。
「――仕事すっか」
真っ赤に染まった空に、ゆっくりはいた煙草の煙が消えていった。強すぎる紅い光が眩しくて目を細める。
部活の下校時間も過ぎた。顧問をしている剣道部の部員たちもとっくに帰っただろう。
剣道場で指導していた身体の熱もようやく冷めた。
――さて、今日は何時に帰れるか。
そうぼんやりと椅子に腰掛けたところで、控えめなノック音が響く。
「……土方先生、いらっしゃいますか?」
小さい声だったが、それは間違いなく千鶴だった。
「――開いてるぞ」
「あ……! はい」
軽い音がして扉が開かれる。生徒が居るべきでない時間にどうしたのか。疑問を浮かべつつ千鶴へ目線を向ければ、土方の顔を見るなり赤くなって俯いた。
「どうした?」
扉から一歩踏み込んだきり動かない千鶴を引き入れて鍵をかける。
生徒がいない時間帯だが、用心にこしたことはない。
「えっと……何でもないわけじゃ……ないんですけど」
「珍しく歯切れが悪いな。言いたいことがあるなら遠慮しないで言え」
「うう……」
たいてい、千鶴が言葉につまるのは恋愛ごとについてだ。つまり土方に関することなので悪い気はしないが、聞き出すのに毎回一苦労である。
今回も、土方の顔を視界に入れるたび赤くなっては言葉につまる繰り返しだ。
「おい……千鶴」
ずるいとは思ったが少々威圧的に声をかける。
「……はい」
千鶴の細い指が土方のスーツの袖をちょんとつまんだ。
それが微かに震えているのに気付いたが、とりあえずそれは見なかったことにした。
「――あの、先生は、私でちゃんと満足してますか?」
「……は?」
「うう……えっと、付き合ってからずっと、えええっちは月に一回くらいだし、私はそういうことをよく知らないし、先生は満足できてないじゃないかと……思ってですね……」
言葉の最後は小さすぎてよく聞こえなかったが、言いたいことは大体分かった。
「……何でそう思ったんだよ」
「普通のお付き合いはそうじゃないって……聞いたんです」
「なるほどな。千鶴、ちょっとそこ座れ」
女ひとりの学校で過ごす千鶴に、そんな下衆な話を吹き込んだのはどこのどいつだと真っ先に問い詰めたいが、ひとまず落ち着かない千鶴をソファーに座らせる。
自分も横に座れば、だいぶ前に校長室から処分品として引き取ってきた古いソファーがぎしりと音をたてた。
暗い表情の千鶴がびくりと身体を揺らす。土方に怒られるとでも思っているのだろう。
「少し落ち着け。コーヒーでも飲むか?」
「やっぱり、先生は落ち着いてますね……」
太腿に置いた手がぎゅっと握りしめられている。
「私ばっかり必死で、すぐに頭がいっぱいになっちゃって、恥ずかしいです」
声は自分を嘲笑うようだったのに、大きな瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
「まったくお前は……」
「ごめんなさい……」
「違えよ。よく聞け」
「え?」
千鶴の頬を撫でれば、ぱちぱちと瞬かせた瞳から自然に涙が伝い落ちる。
それを拭いながら動揺に揺れる琥珀色の瞳を見つめた。
「お前だけが必死だなんて思うなよ」
「そ、そんなの……!」
「こっちはお前が男子生徒どもに囲まれてるのを毎日見て、耐えるのに必死だってのにそりゃひでえな」
「………」
今度は瞬きを忘れたかのように目が見開かれた。
そういえば、こんな子供のようなもの言いを千鶴に向かってするのは初めてかもしれない。
「お前は何の警戒心もなくいつもここに来てるけどな、学校じゃなかったら、何もせずに帰すなんてできねえよ」
ようやく言葉を飲み込んだのか、顔を真っ赤にした千鶴がじたばたと抵抗を始める。
しかし、既に片手は腰に回してある。振りほどくのは無理な話だ。
「わ、わかりました。わかりましたから……離して下さい……!」
「分かったなら離れなくて良いだろ。せっかくお前も乗り気なんだって分かったしな」
抱くのを控えていたというのは本当の話だが、それはいつも千鶴がいっぱいいっぱいに見えたからだ。
まだ若い彼女に無理をさせたくないというだけで、ゆっくり慣れてくれればと思っていたが……当の本人が不満だと言うなら仕方ない。
「――ひゃ!? 手を入れちゃだめです! リボンも外しちゃだめ!」
「んー?」
「こ、ここ学校……!」
「鍵は閉めた」
「誰かに気付かれたら」
「下校時間はとっくに過ぎてる――ああもう、少し黙れ」
止めて欲しいと訴え続ける千鶴の言葉を唇で奪った。
抵抗しながら、安心したように眉尻を下げた千鶴の表情を、俺は決して見逃していない。
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