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1万HIT企画リクエスト作品です。
夢乃様のみお持ち帰り可ですので、好きにして頂ければ////
長いことお待たせして申し訳ありませんでした。
気に入っていただければ嬉しいです。
ED後・千鶴を甘やかす土方・甘々
作品は以下からどうぞ♪
あなたはわたしの大切な
朝、しゃらしゃらと鳴る音で意識が浮上した。
「――……」
少し顔をずらして音がするほうを見れば、千鶴の正座した背中があった。手に手鏡を持ち、なにやら熱心に覗き込んでいる。
ぎこちない手つきで髪に挿したりしているのは、淡い蒼色をしたかんざしだ。
音の正体は、それの下がり飾りらしい。金属の細い鎖の下には、小さな蝶がきらきらとしていた。
そんなもの、一体どこから出してきたのだと思ったのは最初だけで、眠っていた頭が冴えてくれば見覚えのある代物だと気付く。
あれは確か。
「……何で、お前が持ってんだ……?」
まだ布団に寝転がったまま声を出せば、驚いた千鶴が勢いよく振り向く。
起きたばかりだったので、声は少しかすれていた。
「歳三さん、起きていたんですか?」
「たった今な」
「気付かなくてすいません。おはようございます」
「ああ、おはよう。――ところで、なんで隠す」
「うっ……」
千鶴が後ろ手に隠したかんざしを、こちらに見せるよう眼差しを向ける。
何年も前の話だが、あれは自分が買ったものに間違いなかった。
しかしだ。
「それをお前に渡した覚えはないんだが……」
あれはまだ新選組が京都にいたころだったろうか。
千鶴に贈るために買ったはいいがなかなか渡せず、気付けばそんなことを考える余裕もなくなり記憶から消え去っていた。
そのくらい、土方は新選組のことばかりを考えるようになっていったのだろう。
「沖田さんが渡してくれたんです。――土方さんから君にって。でも土方さんには内緒だよって」
病気で床にふせる数日前に。千鶴が最後にぽつりとこぼした一言に、また総司かとため息をはきかけて止めた。
「総司から何も聞かなかったのか?」
「それだけ言って、すぐどこかへ行ってしまいました。勝手に受け取ったこと、言わなくてごめんなさい」
「謝るな。当時の俺にそんなこと言ったって、くだらないの一言で終わってただろうしな」
自分で言うのも情けないが、当時の俺ならそう言った自信がある。
そんな土方を千鶴は分かっていて、それでも今まで大切に持っていたのだろう。
自傷気味な笑みを浮かべながら千鶴に手招きをすれば、すぐそばにちょこんと座った。
「――俺が挿してやるよ。たまには髪も結い上げてみたらどうだ」
「えっ?」
千鶴が後ずさる前に起き上がり、正座していた千鶴の身体をくるりと回転させる。
簡単に結い上げてみた綺麗な黒髪に、しゃらしゃらと鳴り続けるかんざしを挿してやれば白いうなじが目前に晒された。
「これはな、近藤さんに勧められて仕方なく買ったんだよ。お前は雪村くんをもっと女子として扱えって怒られてな」
「……仕方なく、ですか」
「あのときは、千鶴とこうなるなんて考えもしなかったからな。実際にお前が気にかかってても、優先するのは何があろうと新選組だった」
「わ、わかってます! 拗ねてなんかいません!」
「くく……悪い」
「んっ……!」
お詫びとばかりに白いうなじに口付ければ、千鶴の体がぴくりと揺れる。一緒にしゃらりという音も耳に届いて心地いい。
そういえば、これを買ったとき、総司も近藤さんにひっついて一緒にいた気がする。
興味がなさそうに店の外をうろついていたと思ったが、会話はしっかり聞いていたらしい。
どうせ句集を探していてこれを見つけたのだろう。
ただ、なぜ土方をからかいもしないで、ただ千鶴に渡したのかは分からない。
「あいつなら嬉々としてからかいそうなんだがなあ……」
「そうなんですか?」
「俺が女に贈りものだなんて絶好の笑いもんだろ」
「……」
顔は見えないが、何か言いたげな千鶴。
「……言っとくが、俺が若いころ遊んでたからって女に贈り物してたわけじゃねえからな」
「そ、そんなこと聞いてません」
「――だから、俺にとって千鶴が特別なんだっていい加減分かれ」
「ひゃっ」
千鶴の身体を囲い込んで膝の上に乗せる。
相変わらずこういうことに慣れない妻は、やはり顔を赤くしていた。
いつもと髪型が少し違うので、こちらも少しむずかゆい気持ちになる。
「しっかし、何で蒼色なんだろうな。昔の自分がよくわかんねえ」
「素敵なかんざしですよ……?」
「値段は張るけどな。お前に贈るなら、どう考えても桃色とかだろ」
「えっと……」
千鶴が分からないといった顔で適当な返事をする。
そのまだあどけない顔の下にある着物はやはり桃色である。桜と同じ色だと言って微笑みを向けられたのは記憶に新しい。
「また買ってやるよ」
「そんな、これで十分です」
「俺が買いたいんだ。今度はその着物と合うのを選ぶから」
そう言って、千鶴の身体をますます引き寄せれば、またしゃらしゃらとかんざしが鳴った。
『千鶴ちゃん。これ、欲しかったら約束してね? ずっと土方さんの小姓でいるって』
『……何で約束する必要があるんですか?」
『――心配する必要も、なかったかな』
『沖田さん?』
『何でもないよ。はい、あげる』
『あ、ありがとうございます』
『土方さんには内緒だから。じゃあね』
夢乃様のみお持ち帰り可ですので、好きにして頂ければ////
長いことお待たせして申し訳ありませんでした。
気に入っていただければ嬉しいです。
ED後・千鶴を甘やかす土方・甘々
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あなたはわたしの大切な
朝、しゃらしゃらと鳴る音で意識が浮上した。
「――……」
少し顔をずらして音がするほうを見れば、千鶴の正座した背中があった。手に手鏡を持ち、なにやら熱心に覗き込んでいる。
ぎこちない手つきで髪に挿したりしているのは、淡い蒼色をしたかんざしだ。
音の正体は、それの下がり飾りらしい。金属の細い鎖の下には、小さな蝶がきらきらとしていた。
そんなもの、一体どこから出してきたのだと思ったのは最初だけで、眠っていた頭が冴えてくれば見覚えのある代物だと気付く。
あれは確か。
「……何で、お前が持ってんだ……?」
まだ布団に寝転がったまま声を出せば、驚いた千鶴が勢いよく振り向く。
起きたばかりだったので、声は少しかすれていた。
「歳三さん、起きていたんですか?」
「たった今な」
「気付かなくてすいません。おはようございます」
「ああ、おはよう。――ところで、なんで隠す」
「うっ……」
千鶴が後ろ手に隠したかんざしを、こちらに見せるよう眼差しを向ける。
何年も前の話だが、あれは自分が買ったものに間違いなかった。
しかしだ。
「それをお前に渡した覚えはないんだが……」
あれはまだ新選組が京都にいたころだったろうか。
千鶴に贈るために買ったはいいがなかなか渡せず、気付けばそんなことを考える余裕もなくなり記憶から消え去っていた。
そのくらい、土方は新選組のことばかりを考えるようになっていったのだろう。
「沖田さんが渡してくれたんです。――土方さんから君にって。でも土方さんには内緒だよって」
病気で床にふせる数日前に。千鶴が最後にぽつりとこぼした一言に、また総司かとため息をはきかけて止めた。
「総司から何も聞かなかったのか?」
「それだけ言って、すぐどこかへ行ってしまいました。勝手に受け取ったこと、言わなくてごめんなさい」
「謝るな。当時の俺にそんなこと言ったって、くだらないの一言で終わってただろうしな」
自分で言うのも情けないが、当時の俺ならそう言った自信がある。
そんな土方を千鶴は分かっていて、それでも今まで大切に持っていたのだろう。
自傷気味な笑みを浮かべながら千鶴に手招きをすれば、すぐそばにちょこんと座った。
「――俺が挿してやるよ。たまには髪も結い上げてみたらどうだ」
「えっ?」
千鶴が後ずさる前に起き上がり、正座していた千鶴の身体をくるりと回転させる。
簡単に結い上げてみた綺麗な黒髪に、しゃらしゃらと鳴り続けるかんざしを挿してやれば白いうなじが目前に晒された。
「これはな、近藤さんに勧められて仕方なく買ったんだよ。お前は雪村くんをもっと女子として扱えって怒られてな」
「……仕方なく、ですか」
「あのときは、千鶴とこうなるなんて考えもしなかったからな。実際にお前が気にかかってても、優先するのは何があろうと新選組だった」
「わ、わかってます! 拗ねてなんかいません!」
「くく……悪い」
「んっ……!」
お詫びとばかりに白いうなじに口付ければ、千鶴の体がぴくりと揺れる。一緒にしゃらりという音も耳に届いて心地いい。
そういえば、これを買ったとき、総司も近藤さんにひっついて一緒にいた気がする。
興味がなさそうに店の外をうろついていたと思ったが、会話はしっかり聞いていたらしい。
どうせ句集を探していてこれを見つけたのだろう。
ただ、なぜ土方をからかいもしないで、ただ千鶴に渡したのかは分からない。
「あいつなら嬉々としてからかいそうなんだがなあ……」
「そうなんですか?」
「俺が女に贈りものだなんて絶好の笑いもんだろ」
「……」
顔は見えないが、何か言いたげな千鶴。
「……言っとくが、俺が若いころ遊んでたからって女に贈り物してたわけじゃねえからな」
「そ、そんなこと聞いてません」
「――だから、俺にとって千鶴が特別なんだっていい加減分かれ」
「ひゃっ」
千鶴の身体を囲い込んで膝の上に乗せる。
相変わらずこういうことに慣れない妻は、やはり顔を赤くしていた。
いつもと髪型が少し違うので、こちらも少しむずかゆい気持ちになる。
「しっかし、何で蒼色なんだろうな。昔の自分がよくわかんねえ」
「素敵なかんざしですよ……?」
「値段は張るけどな。お前に贈るなら、どう考えても桃色とかだろ」
「えっと……」
千鶴が分からないといった顔で適当な返事をする。
そのまだあどけない顔の下にある着物はやはり桃色である。桜と同じ色だと言って微笑みを向けられたのは記憶に新しい。
「また買ってやるよ」
「そんな、これで十分です」
「俺が買いたいんだ。今度はその着物と合うのを選ぶから」
そう言って、千鶴の身体をますます引き寄せれば、またしゃらしゃらとかんざしが鳴った。
『千鶴ちゃん。これ、欲しかったら約束してね? ずっと土方さんの小姓でいるって』
『……何で約束する必要があるんですか?」
『――心配する必要も、なかったかな』
『沖田さん?』
『何でもないよ。はい、あげる』
『あ、ありがとうございます』
『土方さんには内緒だから。じゃあね』
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