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猫パロです。
土方さん家の夏。


拍手[23回]






~日常の1コマ~ 夏ですね



「歳三さん、お帰りなさい」
「おう、ただいま」

にこにこと、さも当たり前のようにバッグを受け取る千鶴。
たまには外に出かけようと約束していたが、急患が入り午前中は出勤していた。
すこしは怒ってくれても良いのだが、本人にそんな気持ちはこれっぽちもないようだ。

「……ちづは寝てるのか?」
「はい。今日は涼しいので、窓を開けたら気持ち良くなったみたいで」

いつもならまっ先に出迎えてくれる、ふわふわの愛猫は昼寝中らしい。
ちなみに、目つきの悪い黒猫のほうは、千鶴と一緒の帰宅以外は影すらも見せようとしない。
リビングに入れば、猫用ベッドですやすやと眠るちづ……と黒猫がいた。
一つの猫用ベッドに、丸くなった二匹がぴったりとくっついている。

――暑くないのか。

まっ先に出た感想はそれだったが、言葉に出せば、また千鶴が「としぞーに、やきもちですか?」と嬉しそうに微笑むのがお決まりなので止めた。
しかし、今日は涼しいといっても夏である。
丸いベッドに隙間なく詰まっているのは、さすがにどうなのか。

「また、こっちのベッドに寝てるんだな」
「大きめのベッドもあるのに、二匹ともこっちが好きみたいで……」

二匹のそばに腰をおろしたところで、千鶴がアイスコーヒーを持ってきた。
歳三の横にちょこんと座る。

「こうしてみると、随分でかくなったもんだなあ。前は二匹で入ってもすかすかだったのに」
「そうですね。でも、ちづは変わらず可愛いらしいし、としぞーは綺麗になりました」
「まあ、元気に育ってくれてりゃ文句ねえよ」
「はい」

子猫だったころが懐かしい。
獣医のくせに動物を飼ったことがない自分は、飼い主としてちづと接することに慣れていなかったし、千鶴なんて、黒猫の軽い不調ですらいつも泣きそうな顔をしていた。
あわただしい毎日だったなあと、苦笑いをうかべて独りごちる。
もっとも、今だって猫たちには、振り回され続けているが。

「ところで、お昼は何が食べたいですか?」
「ああ、そんな時間か。外にでも食いに行くか?」
「でも、歳三さんお仕事だったのに……えーと、素麺と天ぷらとか、どうですか?」

午前中だけといっても、急患は精神的に疲れる。
だから、千鶴の手料理は魅力的な提案なのだが。

「今日のデートがなくなった詫びにでもと思ったんだが、俺と外出はしたくないか」
「……良いんですか?」
「遠慮するな。ついでに、どこかで買い物もするか」

困った顔で赤くなる千鶴。
やはり、今日の予定が流れたことは残念だったらしい。悪いことをした。
ありがとうございますと笑う顔は、とてもいじらしい。

「決まりだな。あとで車出すから、ちょっと昼寝させろ」
「きゃっ!? 歳三さん?」

千鶴を引き寄せて、膝に頭を乗せた。
勝手に目を閉じる間際、はずかしそうな千鶴の顔が見える。視界が暗くなれば、とてもやわらかい感触を頭越しに感じることができた。

「……どのくらいで起こしますか?」
「猫たちが邪魔してこなかったら、30分で頼む」
「ふふ、分かりました」

どうせ、二匹が目を覚ませば、我も我もと千鶴の膝に乗って、歳三は追い出されるのが目に見えている。
たまには空気を読んでくれと願いながら、涼しい風とあたたかい体温が心地よくて、あっけなく意識を手放した。
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