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1/11 インテで新刊を発行致します。
「にゃんちづさんと すまーと 猫ライフ」
土千 / 漫画+小説 / A5 / P36 / 500円(イベント価格)



駄菓子屋サンバのラムネさんとの合同誌です。
昨年発行の「にゃんちづさん ひろいました」の続編。イベントに既刊も持ち込みますが、新刊のみでもお読みいただけます。

千鶴ちゃんが猫になったりするとんでもパロディ。今回は登場人物も増えてわいわいの様相です。

当日は【3号館K10b】ラムネさんのスペースにお邪魔しております~

【追記】通販の予約が始まりました。とらのあな様にお願いしております。

【追記】新刊の一部(5ページ)に訂正箇所がありました。申し訳ありません。以下の画像が訂正後です。


以下より小説部分のサンプルです。

拍手[3回]



【1】沖田さんが拾ってしまいました。

「……なに、この黒い毛玉。もしかして猫?」
頭の上から人間の声が聞こえる。どうやら、俺に話しかけているようだ。
でも、千鶴を探し疲れて眠いし、走り回っていたので足も痛い。確か、草むらの陰に隠れたはずだったのに、それをわざわざ見つけるとか、何て鬱陶しい人間なのだろう。
「ふうん。死んではないみたいだし、寝てるだけかなあ」
早く去れと念じて寝たふりを決め込んでいると、突然背中を撫でられた。ぞわり、と一瞬で毛が逆立つ。
人間なんて、初めから大して好きではない。けれど、触られてこんなに悪寒を感じるのは初めてだった。いったい何だ、この男は。
胴体を掴んで持ち上げようとする手に、空かさず爪をたてる。
「君、いい度胸してるね」
身体を起こして威嚇の体勢を整えると、男の顔が視界に入る。表情は笑顔だが、黄色がかった緑色の瞳は意地が悪そうに細められていた。
おそらくだが、背が高い方の人間だろう。ひどく見下されている状態で気分が悪い。俺を猫だと認識しているのなら、膝を折ってかがむくらいはしても良いだろうに。
「……へえ、面白そうだ」
顔を上げた俺を見るなり、さらに陰湿に笑う男。
逃げるのも癪だが、関わらない方が良いと直感が告げていた。せめて可愛い妹が、こんな性格の悪そうな人間に捕まっていませんように。
「僕から逃げるなんて、考えない方が良いよ」
身体をひるがえそうとしたのに、一瞬で視界は宙に浮いた。男に胴体をがっしりと掴まれて、やっぱり毛が逆立つ。
「君をどうするかは……そうだな、土方さんの家に連れて行ってから決めようと思う」
誰だよ土方って。勝手に決めるな。
どうでも良いが、おまえは誰だ。
「真っ黒でよく分からないけど……君、けっこう汚いかも。まずシャワーに連れて行くからよろしく」
うるさい。真っ黒でなにが悪い。おまえの落ち着かない茶色い頭よりはずっとマシだ。
「……あの子と見た目はそっくりなのに、目つきが悪すぎるんじゃないかなあ。全然可愛くない」
男がぶつぶつと聞き取れない声で呟いている。とりあえず悪意だけは感じ取ったので、威嚇で呻ってみた。
「ほんと、可愛くない」
妹と違って、俺に可愛さなんて必要ない。それより手を離せ。さっきから、謎の悪寒が止まらない。
全力で抵抗したところで、大きな男の手は微動だにしなかった。無情にも、どこかに向かって歩き出す。

ああ、千鶴。おまえは一体どこにいるんだ。


【2】薫くんの襲来

土曜日の朝。
また勝手にベッドへ潜り込んできたらしい千鶴のあたたかさに負けて、二度寝を決め込んでいる最中。
空気を読まずにメールの着信を知らせた携帯電話。その内容は『これから千鶴ちゃんに会いに行きます。あと三十分くらいかな』。たったそれだけ。
宣言通り、ぴったり三十分後に現れた総司の手には、土方の家にもあるような猫用キャリーバッグ。もっとも、うちにあるのは斎藤が勝手に持って来たものだが。
「急用を思い出した。今日は帰れ」
「何言ってるんですか。後ろで千鶴ちゃんもお出迎えしてくれてるのに」
ひたすらに悪い予感がする。半分まで開けたドアを閉めようとしたが、総司が身体を割り入れてきた。
土方の後ろで、今か今かとお客を待つ千鶴は猫の姿だ。総司は猫の千鶴とは仲良くしているし、会わせることに問題はないが、そのキャリーバッグの中身は一体何だ。総司が動物を飼っているなんて聞いたことがない。
人の姿になれるという、普通の猫ではない千鶴。そんな彼女に、他の動物を会わせてどうなるかなど、土方には見当がつかない。
考えている間にも、総司は勝手に玄関へあがる。すぐさま膝を折ってかがんだのは、千鶴に挨拶をする為だ。
「おはよう千鶴ちゃん。今日も可愛いね」
「にゃ!」
ちいさな黒い頭を撫でられて、千鶴はごきげんに返事をした。
「そんな君に、素敵なお土産だよ」
「み?」
にこにこと笑う総司がキャリーバッグを開いた。
窮屈そうな空間から、ぱっと頭をあげて千鶴を見つめたのは、もう一匹の千鶴――ではない。
千鶴そっくりの黒猫だった。
「おい、総司」
「うわあ。土方さん怖い顔」
「………おい」
改めて睨みつけると、今度は「分かりましたから、その鬼みたいな顔は止めて下さい」とか余計なことを言う。両手をひらひらとさせて降参のポーズを取った。
「昨日の夜に拾ったんです。弱ってもいなかったし、たぶん寝てただけなんですけど、千鶴ちゃんにそっくりだから連れて来ちゃいました」
「連れてきちゃいましたって……おまえな」
総司らしいといえばその通りの文句に、朝から頭が痛い。ただ顔をしかめる土方を尻目に、至極楽しそうである。
「ほら、面白そうでしょ」
総司が視線を向ける先には、黒猫を見つめたまま動く様子のない千鶴。対面に鎮座する黒猫も大人しいもので、じっと千鶴を見つめ返している。その姿は、まるでお互いの鏡だった。
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