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※オトモバ個別キャラメール ネタバレ注意

短いです。キャラメールから派生。
他愛もない夫婦の日常。



作品は以下からどうぞ♪

拍手[18回]













小さくも愛しい日常




本日も、一段と冷える冬の蝦夷。
人里離れた民家に住む土方と千鶴は、燃料の節約も兼ねて、できる限り1つの部屋で過ごしていた。
書斎兼寝室で書物を読んでいた土方に、千鶴が熱い茶を差し出す。

「うまい。」
「ありがとうございます。」

土方がぽんぽんと、自分が座っている横を軽く叩いたので、千鶴は大人しくそこにちょこんと座る。
どうやら、話し相手になれという事らしい。

「そういえば…この前、歳三さんが言っていた二頭の狼の事なんですけど…」
「…ああ。」

茶を飲む手を止めて、土方が千鶴を見る。

「もし…新選組にいた頃、私が怪我や病気で普通の生活を送れない体になっていたら、歳三さんはどうしていましたか?」
「…なんだ、随分と意地悪な質問だな。」
「ふふ、歳三さんのお手紙を見返していたら、つい考えてしまいました。」

しばらく難しい顔をしていた土方であったが、軽い溜息を吐くと千鶴の目をじっと見た。

「あの頃の俺なら、お前を見捨てただろうな。」
「…はい、私もそう思います。出逢った時から、歳三さんの一番は新選組だったから。」
「はあ…お前な、分かってて聞いたのかよ。」

気まずさを誤魔化すように、土方が再び茶に口をつける。

「だったら、今はお前が一番だって事も分かってんだろ?」
「…歳三さんが、今は私だけを見ていると、改めて確認したくなってしまったんです。」
「別に、これ位何度だって言ってやるよ。」

にやりと笑って茶を文机に置いた土方が、千鶴の方に体を向けたと同時に、彼女を引き寄せて膝の上に乗せた。
顔を赤くして身じろぐ千鶴を余所に、首筋に顔を寄せて腕の力を強める。

「俺にはお前だけだ、千鶴。」
「っ、ううー…ずるい、です…」
「俺の反応を試すなんて、100年早えんだよ。」
「ご、ごめんなさい…ですから、もう放して下さいっ!」
「却下。」

しばらく土方の腕の中で反抗していた千鶴であったが、腕の力を緩めようとしない土方に、仕方なく諦めた。
体の力を抜いて、土方に委ねる。

それから、しばらく会話もせず静かに流れる時間を過ごしていたが、どこか遠くを見ている様子の土方が不意に口を開いた。

「…なあ、久しぶりに新選組が京にいた頃の話でもしないか?」
「…はい。」
「お前がいつから俺に惚れてたのかも含めてな。」
「もう。まだ仕返しですか?」

くすくすと柔らかく笑う千鶴に、土方もつられて顔を緩めた。

二人だけの小さな家で、今日も穏やかな時間が流れている。




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